例えば象徴的なのが、創業間もない頃の話です。当時、代表的だった動画プレイヤーは、MicrosoftのWindows Media PlayerやAppleのQuickTime Player、そしてRealPlayer。 このRealPlayerを提供するリアルネットワークスはわれわれの株主でしたが、株主を説得してどんなプレイヤーでも使える環境を提供するようにしました。
動画配信インフラ専業から、Webや映像の制作事業を社内に整備したり、ここ10年ほどではOVPやCDN(Content Delivery Network)のプラットフォーム事業を強化し開発の内製化に舵を切りました。顧客ニーズに応えるために、体制や経営戦略を大きく変えることも珍しくありません。
開発の内製化に伴いモダン開発へと移行させ、 開発基盤をマイクロサービスアーキテクチャで構築したこともチャレンジと捉えています。マイクロサービスは素晴らしい概念なのですが、多くの企業が着手したくてもできず、途中で頓挫してきました。
当社での始まりは、現アーキテクトの大川との話のなかで、マイクロサービスの必要性と、同時に、組織に根付かせる難しさを聞いたことにありました。すでにあるレガシーなシステムもあり、そのメンテナンスもあるし、サービスを止めるわけにもいかない。私自身も海外動向などを見るなかでマイクロサービスに強い関心を抱いていましたが、調べていけばいくほど非常に難しいことだと思っていました。
ただ、動画領域の技術変化というのはとても早い。加えて、顧客ニーズのスピードを考えると多様な用途に対して細かな機能追加を一層迅速に提供できるようにする必要がある。大川の話はそのための提案でした。ですから、大川にアーキテクトを任せ、経営として全面的にバックアップする判断をしました。今や開発環境だけでなく、組織、人事など多岐にわたり開発力強化のための組織づくりを進めています。